患者様のご質問の多い当院にての白内障手術についてお話します。
白内障の手術とは、水晶体の濁りを取り除き、人工の水晶体を移植することです。したがって、網膜や視神経などの他の部分の働きに問題がなければ手術をおこなうことで水晶体の濁りによる視力低下の改善が期待できます。
また手術で眼内に移植する人工レンズは、手術を受けられる方の目の状態(近視や遠視の程度、組織の弱さ、合併して存在する目の病気)に応じて選択され、水晶体がもとあった位置に移植します。異物感はなく、取り外しをする必要もありません。 一度挿入すれば、半永久的に使用できます。
当院では日帰り手術を主に行っております。日帰り手術が困難な場合は入院して手術を受けていただくこともできます。日帰り手術の場合は、遠方の方は術後すぐには車の運転ができませんので御家族に送ってもらうかタクシー等での通院が必要です。またお一人暮らしであれば家事が心配です。回復の早い人なら手術翌日から視力改善が体感できますが、目の状態が安定するまでは十分な安静と点眼などの加療が必要です。当院内には入院設備を常設しておりませんが近隣の施設に入院していただき、術前後の診察には送迎をさせていただいております。
御自身や御家族のいろいろな事情をよく考えて、日帰りで手術を受けるか、入院して手術を受けるか選択する必要があります。入院を希望される方は、医師またはスタッフにご相談ください。
上手に手術を受けていただくコツは「急に動かない」ことと「我慢しない」ことです。顕微鏡を使う細かい手技になりますので急に動かれると非常に危険です。また尿意や目、腰、頭の痛みなどを我慢されると体に力が入ってしまい手術が難しくなります。その点を心掛けていただければ、手術もよりスムーズに進行します。手術中はときどき医師やスタッフの方から声をかけますので、もし何か異常を感じたり不具合がありましたら、そのときにお声に出しておっしゃってください。
手術のあとは傷口が完全にふさがっておらず、眼の中にばい菌が入りやすい状態です。 目をこすったり押さえたりしないように注意してください。
手術をした目が回復するまでは目薬を正しくすることが大切です。 点眼する前は石鹸で手をよく洗いましょう。目薬は自分の判断でやめないように、必ず医師の指示に従って下さい。とくに術後2週間以内に急激な視力低下、 眼痛、充血などがあれば、すぐにご連絡ください。手術の傷口から細菌が眼の中に入り、眼内感染症を起こす可能性があります。
最近では遠近両用の多焦点眼内レンズを用いた手術も行われています。人によっては向き不向きがありますので術前にしっかりと適応を調べ十分説明を受ける必要があります。
当院での単焦点眼内レンズの手術の場合は人工のレンズのためピントをあわせる調節力がほとんどありません。通常では眼内レンズの度数を中間距離に合わせますので日常生活の中で必ずメガネが必要というわけではありません。よりハッキリと遠く、よりハッキリと手元を見えるようにするには、それぞれの使用距離に度数を合わせたメガネを使用することになります。
白内障手術の安全性は、医師とスタッフの高い医療技術と最新の手術設備によって保たれます。
しかし、手術には予測できないことが起こる可能性があり、全てに100%の成功を望むことはできません。
当院では医師およびスタッフはトレーニングを十分に受け、 手術の成功率が100%に近づくよう、細心の注意をはらって手術をいたします。